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弱く照りつける朝日が窓から部屋へ差し込み、部屋の主たる少女はうっすらと瞼を開けた。
最高級の羽毛を頭から被り桃色の髪しか見えていなかったが、しばらくして鼻まで顔を出す。
「……寒い」
途端しびれるような寒さが肌を刺し、少女はそう言うと再び顔を潜らせる。
が――
「は!?」
思い出したような顔をし、ガバッと起き上がった。
肌を隠すには心許無い薄手のベビードールを身にまとい、ウェーブ気味の腰まで伸びた桃色の髪。
彫刻のような白い肌は一気に押し寄せた寒さで鳥肌たってしまったが、少女はそれでも構わない。
とび色の瞳の中に意志強く光を燈らせ、これからの意気込みと緊張の度合いを如実に窺わせている。
気品を感じさせる外見からは想像できない大きな足音を出しながら、壁際にいくつも置かれている洋服棚へ近付いていく。
取り出した制服をベッドの上に放りなげ、スカートを穿こうとし片足立ちをして尻餅をつきながら、少女は焦ったような表情をしていた。
「今日はデートの日だったわ!!」
着替え終わると扉を体当たりするように開け、走り向かったのはある少年の部屋――
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