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『うるせーな。泣かせんなゃ!』
『美帆~、ママとお外に行こうね。』
顔を真っ赤にして泣いている小さな美帆をタオルで包み静まり返った夜道を歩く。
さっきまで泣き続けていた美帆は私を見つめニコニコと笑いかけてくる。
しばらく散歩すると美帆は笑顔のまま寝息をたてた。
『上手に眠れなかったから少し泣いちゃっただけなのにね…パパはどうして怒るのかな。』
携帯を見るともう午前2時を回っていた。
『そろそろ帰ろうか…。』
――ガチャ。
静かにドアを開けると部屋から明かりが見える。
「まだ起きてるんだ…」
そう思いながら深いため息をつきリビングのドアを開ける。
そこには酒を飲みながら電話して笑ってる旦那がいた。
携帯からかすかに漏れる女の笑い声。
「また飲み屋の女か…。」
そう思いながらリビングを通り過ぎ、私と美帆の寝室に入り扉を閉めた。
リビングからは楽しそうに会話する声が響く。
『美帆の泣き声より10倍うるさいし…!』
ボソッと呟きながら布団を頭までかぶった。
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