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そんなある日―――。
――ギャーーーッ!
泣き叫ぶ美帆を慌てて抱き締める。
『美帆!大丈夫?!痛かったね。ごめんね。』
泣き続ける美帆。
由香は旦那を睨みつけた。
酔った旦那が抱いていた美帆を誤って玄関に落としたのだ。
『うるせーな!ギャーギャー泣きやがってクソガキが。』
…と美帆の頬を叩いた。
――?!
言いようの無い怒りが由香に込み上げる。
『たいしたことない?クソガキ?!ふざけないでよ!』
今まで旦那の言いなりになってきた由香が初めて口を返した。
そんな由香を見て鼻で笑い出ていく夫。
この時から由香は心に決めていた。
この人とは別れようと。
今までの生活も子供の為ならと我慢してきた。
でもこんな生活は美帆にとっても幸せではない。
我慢して全てを繋いでいた1本の糸がプツリと音をたてて切れた…。
笑うことすらなくなってしまった日々。
人を愛することさえ忘れてしまってたんだ…。
―――そんな私に光をくれたのはあなたでした―――。
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