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それでも黙秘するようだ。肝が座っているとでも言うべきか。少々の脅しは通用しないらしい。
「ふむ・・・では、そうだな、先程父親の形見と言ったが、生前は何をしていたのかな」
「自衛隊でした。ただ色々顔は広かったようで、幼い頃に南極に連れていかれて死にかけた記憶があります」
「・・・凄いな」
「ええ、他にも山にキャンプだと言われて行ってみればナイフ一本渡されてのサバイバルだった事も。自分の親ではありますが、一言で言うなら変人ですね」
この子が何故強いか十二分に理解出来た。自分が同じ境遇だったらと思うと同情の念が出てくるが、しかし父親の事を話す少年の目は幾分輝いていた。
口では変人だと言ったが、彼はそんな変人を愛し尊敬していたのかもしれない。
「成程、しかし君も血はしっかり受け継いでいるらしい」
「・・・」
「因みに母親は何をしている人なんだ?」
「仕事の事は家に持ち込まないので詳しくは分かりませんが、今も続けているなら警察関係だと思います」
「え!?」
五十嵐が驚きに声を上げる。その声に驚いた二人が目を走らせた。
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