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「・・・あの駐車場か? それとも」
「あの駐車場の方だよ」
「ちっ、よりによって。まあ良い、兎に角現場に向かう」
「いや、橋爪さんは署に来てくれないかな」
「え?」
「犯人らしき人物がね、今、ここに居るんだ」
流石に驚愕した。現行犯逮捕、なのだろうか。いやそれにしては歯切れが悪い。何か訳ありなのだろう。
「聴取は?」
「いやあ面目無い。完全黙秘だよ」
「俺が行っても役に立つとは思えんが」
今は大門署の課長をつとめている五十嵐だが、元は警視庁三課、俗にマル暴と呼ばれる暴力団専門課の課長だ。それ故に尋問に関しては橋爪など足元にも及ばない。
「実は連行されてきたのは少年だ。しかも朝倉学園の生徒らしい」
「な!?」
ある人物の姿がフラッシュバックした。それと同時に数ヶ月前の事件が鮮明に蘇る。
それは五十嵐が言った因縁のある事件そのものだ。仲間を数人殺された上に未だに解決していない、刑事人生で最悪の事件である。
「・・・あの学校は犯罪者を育成してんのか?」
「ぞっとしないねえ。まあそういう訳で勝手が分からなくてさ。現場は荻野君に任せて助けてくれ」
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