異質 後編

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「・・・何を企んでいる事やら」 「案外、形振り構っていられないってだけかもしれないけど」 「・・・それにしたって異例にも程がある」 「でも、荻野君を向かわせる訳にもいかない。まあフォローはするから、ちょっと頑張ってくれ」 「・・・はあ。まあ、良い。ところで、その荻野はどうした? 随分遅くないか」 「うん、実は花田のパソコンのデータが全て消去されていたらしい。しかも花田がやった訳では無さそうなんだなあ、これが」 「・・・確かなのか?」 「パソコンが温かかったそうだ。つまり一歩間に合わなかったらしい。一応うちの専門家さんを向かわせて修復させている。荻野君はそのまま地取り」 「俺は?」 「向かって欲しいけど、今日は良いや。今の所、目撃者が居ない。相当狡猾な奴だ。多分、もう遅い。それに明日から大変だしさ、鋭気を養ってもらった方が嬉しい」 後ろ髪引かれる思いだが、五十嵐の気遣いを断れるほどの気力が無い。橋爪は渋々頷いて明日に備える為に刑事課を後にした。 「・・・ふう、焦った。取り敢えず、橋爪さんにはまだ隠しておいた方が良いな。何だかんだで信頼しているみたいだし。さて、じゃあ俺も出張りますか」
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