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「俺は橋爪源治郎、この大門署の刑事だ。君のその制服は朝倉学園の物だね。名前を教えてもらえないか」
「・・・芹沢、神意です」
「「芹沢!?」」
橋爪と五十嵐の驚きが重なり二人が顔を見合わせた。
どうやら五十嵐も心当たりがあるようだが、橋爪の心当たりとは異なっている筈。
何故なら橋爪は五十嵐とは接点の無い人物から芹沢神意なる名前を聞いたが、まだそれを五十嵐には話していなかったからだ。
五十嵐の心当たりを聞いてみたかったが、今はまず話を進めるが先と少年に向き直る。
少しうつ向き加減の顔は実に平然としていた。警察の人間が自分の名を知っていたら少なからず不安を感じるものだろうに。
「失礼した。では芹沢君、制服のままという事は家には帰っていないのかな」
「はい」
「ご両親が心配するのでは?」
「・・・滅多に帰ってきませんから」
微かに寂しさが含まれた声色だった。親の愛に飢えているのかと同情するのは容易いが、だからと言って犯罪を許す訳にはいかない。
「いつも帰りは遅いのか」
「日によりますが、日付が変わる事は多いです」
「一体何をしているんだ?」
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