銀河鉄道

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夕方の帰り道 さくは少し不安げに帰り道を急いでいた 何処で道を間違えたのか帰りの風景がいつもと違うのに気が付いた  あれ、こんな道だったかな? さくはこの町に引っ越して来てまだ まもなかったので 大きい通りにでればどの辺かわかるだろう、と思いそのまま道を急いだ やがて辺りは暗くなり 通りはまだ見えてこない  まいったな、完全に道を間違えたみたいだ、 さくが引き返そうか悩んでいる その時ふと 雑木林の向こうに 明るい光りがさくの目に映った。  通りの街灯かもしれない さくは林を駆け登り光りの方向へ進んだ。 目印の光りを見つめいた さくはふいに 目が眩み視界を取り戻すと 目の前に無人の駅がある事に気が付いた さくは吸い寄られるように駅と入っていった すみません、○○町に行きたいんですけど どう行けばいいんですか? 駅の待ち合い室にいる 一人のお婆さんに さくは声をかけた。  しかし お婆さんは目をつむったまま返事がない さくは少し大きな声で お婆さんに声をかけた おや! あんた何処からきたのかい? 怪訝そうに お婆さんはさくを覗きこんだ  僕、道に迷ったみたいなんです。 帰り道を教えてもらえませんか? すると、お婆さんは少し目を曇らせながら 静かに言った おまえさん この駅に来ちまったって事は もう帰る道はないんだよ。 それに、汽車がもうじきくるから あんたはそれに乗るしかないんだ、気の毒にねぇ。 さくは少し青ざめた とんでもない所へ来てしまった 話を聞いたとたん すぐに外へ逃げ出したかったが 足がすくんで動けない やがて外にポゥー と汽笛の鳴る音がした  さくは恐る恐る駅のホームに目をやると 大きな見たこともない 古い列車が停車しているのが見えた あの列車にのるの? さくが独り言のように呟く 早くおいで 乗り遅れたらえらいこった。 お婆さんがさくをせかす 僕、行かないよ!  しかし さくの意思とは反対に 体は列車に吸い寄せられていく すると その時見慣れた顔が列車の乗車口に写った  おーい さく。  お爺ちゃん!  祖父の顔を見て さくの顔は少しほころんだ  話は後だよ とにかくこの列車に乗りなさい。 列車の中は 外の外見とは違い思っていた以上に明るかった さくは懐かしいお爺ちゃんに会ったと 同時に これから行く所がどういう所がなんとなくわかったような気がした。
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