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「すっ、すいません!許してください!」
瞬は力強く教室のドアを開けた。
「あっ!待って!」
瞬は、廊下を全速力で駆けた。瞬が本気で走る時は、この時だけかもしれない。
「はぁー、びっくりした」瞬は深く溜め息をついた。
「しゅーんー君!一緒に帰ろう!」要が後ろから小突いてきた。「好きよ、瞬君!」
「お前、盗み聞きしてたのか」
「違ぇーよ。ただ、聞いていただけだ」
「一緒だボケ!」瞬は要の頭を叩いた。
渡辺に金を返した要は、やっぱりあの話に首を突っ込んできた。
「しかしあんな可愛いのをフるとは、お前は理想がどれだけ高いんだ」
「甘いな要。女は顔じゃない、中身だ!」
嘘だ。本当はそんなこと思っていない。かといって、顔が女の全てと思っているわけでもない。
俺は、女が怖いのだ。
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