第1章.日常

9/16
前へ
/70ページ
次へ
「ハァー」 学校の校門の前で大きく溜め息をつく翼。 どうやって誤魔化そうか…。 もう昼だぞ、怒られるよな…。 そんな事を考えながら校庭をスタスタと歩く。 今は昼食時間らしく、校舎では生徒達の賑やかな笑い声が聞こえてくる。 だが、それに比べ校庭ではシーンと寂しさが漂っている。 4月でもう春だというのに冷たい風が吹いてくる。 その風に吹かれた桜並木の桜がヒラリと翼のもとへと舞ってきた。 こんな物に心をうたれる奴がいるらしいが、その心理がわからん…。 ただ目障りなピンク色のゴミじゃないか…。 そうこうしているうちに、3-3と書かれている教室の前まで来ていた。 ドアは閉まっているが、楽しそうな雰囲気がこちらまで伝わってくる。 「ここは後ろから…」 なにやら閃いたらしく、教室の後ろのドアを開け、そろ~りと音もたてずに入り込んだ。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加