第1章.日常

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5時間の始まりを告げるチャイムが鳴ると、女子達の間からヒョコヒョコと教室に帰り出していた。 だが、まだ 「話しかけよーよ」みたいな声が聞こえてくる。 そんな彼女達だったが、 「もう授業始まってんだぞ!さっさと教室に戻らんか」 3-3の担任である横山先生に怒鳴られ、そそくさと散らばっていく。 「アイツらが居るって事は海藤が…」 そう呟き、翼の席の方へ目をやる。 鼾もかかずに静かに眠っている翼。 先生は青筋を少しピクピクさせながら教科書を手に持ち、ソロッと翼に近づいていく。 「あれやる気だぞ」 「いい気味だ…」 「翼君…危ないよ…」 「起きないと…」 男子は面白そうに、女子は不安そうな顔をして見つめている。 何故こうまで教室内で騒ぐのかというと、この先生は寝ている生徒を教科書の角で思いっきり叩くからだ。 先生は翼の前まで来る。そして気持ちよさそうに寝ている翼にもの凄いスピードで教科書を振りおろす。 がんッ! …教科書は翼の頭に当たる事なく、机を思いっきり叩いていた。
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