第1章.日常

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掃除時間になって、翼は担当である裏庭の掃除へと向かった。 ふわぁっと大きく欠伸を一つ。背伸びをし、体中を伸ばす。 「ダルい…」 そんな事をポツリと呟きながらダルそうに草を抜く。 しばらくすると、同じ班の子達がやって来た。 その中の一人、翼の席の隣である女の子が話しかける。 「職員室行かなくていいの?先生怒ってたよ」 「んあ?あぁ…ほっとく」 「ふうーん、そっか」 女の子は翼の隣に腰かける。 「…そういえば私の名前覚えてる?」 翼の顔をマジマジと見ながらそう尋ねる。 翼は即答で 「知らん」とかえす。 「田原 梨絵〔タハラ リエ〕よ、覚えてね」 そう言ってニッコリと笑いかける。 「たぶん明日には忘れてる…」 「忘れちゃ駄目よ。 あ、それと翼君友達ちゃんと作ろうとしてる?クラスの子とか興味無さそうにしてるから」 口を動かしながらもせっせと草を抜いていく梨絵。 「んなものはいらない…」 「「「えぇぇぇ!!!」」」 翼の呟きに辺りにいた全員が驚きの声をあげた。
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