第1章.日常

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それから再び起きたのは3時間後だ。 …イヤこの場合起きたというより、起こされたといった方が正しいのかもしれないが…。 母親が疲れた様子で帰って来て玄関に置いてある大きな靴を見る。 …そして次の瞬間、 「翼! 何時まで寝てるの!? もう10時よ!」 母親の怒声が家中に響き渡る。 「うぅん……」 翼は目をゴシゴシと擦りながら、布団から顔を出し時計を見る。 「10時か」 呑気そうにそんな事を呟きながらベッドから立ち上がる。 「さっさとご飯食べて学校に行きなさい!」 再び下で母親が怒鳴りだした。 朝から騒がしいな……。 翼は重い足取りで1階へと降り食卓につく。まだ半寝状態のままパンを口に入れる。 「眠い……、……スースー」 「寝るなぁ!」 再び寝ようとした翼に間髪入れずに怒鳴る母。 「食いながら行こう……」 食パンを2枚手にとり、自分の部屋に戻り鞄を背負って外へと出る。 「きちんと先生に謝るのよ!」 後ろでそんな声が聞こえてきたが気にもとめず、 食パンをくわえながら、いつもと同じ道を歩いて学校に向かった。
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