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私は、中学に入学するとすぐに野球部のマネージャーになった。
何故か異様に競争率が高かったけど、皆ハードすぎる仕事に根を上げてやめていったから、私はなんとかマネージャーとして残れた。
けれど、それは同時に波乱に満ちた中学生活の始まりを意味していて、私の体から生傷が消えたことはなかった。
野球部には山本武先輩というエースがいて、彼のファンが嫌がらせをするのだ。
マネージャーだけは、理由もなく野球部員に近づけるから。
そんなある日、私はたまたま遅くまで部室に残っていた。
「よー、何してんだ雨村」
今の声は山本先輩。
手元を見てないとわからなくなっちゃうから山本先輩の方はまだみれない。
「スコアの整理ですよ。年度も試合相手もバラバラだから、キチンとしたほうがいいかなぁって。そういう山本先輩こそどうし………って、何ですかその傷?!」
話しながらも整理はなんとか終わり、顔を上げると泥まみれで傷だらけの山本先輩がいた。
私は隣にあった救急箱を引っ付かんで突っ立っている山本先輩の手を引いていすに座らせると丁寧に手当てを施した。
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