千夜の涙

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「氷鬼…あなたが助けてくれたの?」  囁くようなか細い声に、ゾクリと身の毛が総毛立つ。  女特有の甘酸っぱい匂いが、氷鬼を誘っていた。 「あ、ああ…」  しどろもどろに答える。 「ありがとう…」  恥じらう姿がいじらしい。    ―ゴクッ    氷鬼の喉が鳴った。
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