千夜の涙

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 そもそも、この鬼が人以外のものを喰らうなどは珍しい。  こう見えても美食家をきどっている。  白銀の長い髪を風に遊ばせて、吸い込まれそうな深い闇を讃[タタ]えた青い瞳が、ある一つの人家を見ている。  氷鬼は恋をしていた。
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