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暮らしていると何だかんだ言って馴染んでしまうのは不思議なモノで
「桜、茶入れて」
「あ、はい!」
桜が来てから一週間、もう慣れたと言わんばかりに茶を頼むと桜は手早く淹れてくれるから有難い
「ね、名前聞いて無いんですよ」
「俺?俺は奏だよ、ソウね」
そう告げると桜は驚いた表情浮かばせて、若干嬉しそうな声色で話し掛けてきた
「ミュージシャンのSOUじゃないですか!生きてた頃大ファンですよ?普通に見てるとそっくりだとは思ってたんですけどね!」
嬉しそうに笑う桜は普通に女の子、って感じを見せてて
幽霊でもやっぱり変わらないんだなとしみじみ感じる
「俺、今は歌って無いけど…」
「え、えぇぇぇ!?ななななんで…そ、奏さ…」
「なにも、見たくなかった…夢を忘れたからかな」
やっぱり、歌う俺以外は皆興味すらないんだ
桜もそうだと思えば少し悲しくなって、俺の歌を聞いていたと思って嬉しかった
「だけど、私は奏さんは大好きだったんですよ?」
嬉しかったけど、少し恥ずかしくなったからコートを羽織り
“桜、行くよ”なんて声を掛けて外へ出ていった
続く
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