†開かれた物語†

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 「…んっ」  織葉が一人で頭を抱え唸っていると、その青年が苦しげに眉をひそめ、声を上げた。  閉じられた瞳が微かに開く。  「あっ!あんた、どっから入ってきたの?!ってか誰?!」  意識を取り戻した青年に気付き、織葉は怯む事なく問い詰める。  青年は何も言わずに、ただただ織葉を見つめている。  その瞳は髪と同じようにルビーのような紅色。  神秘的な深い色。  見つめていると、引き込まれてしまいそうだ。  紅い瞳?  胡人?  それにしても、綺麗な顔だなぁ。  髪だってさらさらみたいだし。  肌なんか透き通るような白さ。  正直、格好良い…。  織葉は、呑気にそんなことを考えていた。  そんな織葉をしばらく見つめていた青年の口が開く。  「…リリィ」  
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