†開かれた物語†

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 「待って!」  自分自身の大きな声に目を覚ます。  大きく見開かれた双眸に滲む涙。  天井に向かって伸ばした手が空を掴む。  季節は冬。  夕暮れ時の冷えた空気。  窓の外では粉雪が舞い散り、白いカーテンを作る。  はかなく消えるこの雪も明日には白銀の絨毯になるだろう。  視線を窓ガラスから、空へと伸ばしたままとなった左手中指へと戻す。  またあの夢だ。  同じ夢。  同じ目覚め方。  そして。  
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