†開かれた物語†

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 十個の小さな朱色の珠玉が楕円を結ぶ。  美しく優れたものを示すその呼び名の通り、不思議な光を帯び、それでいて妖麗な輝き。  そして、一つだけ大きな濃赤玉を中心にその指嵌めは出来ていた。  いつの頃からしているのか。  それすら分からない。  左手中指に嵌められたそれを見ながら、まだ目覚め切らない意識の中、織葉は考える。  体が熱い。  決して手放してはいけないもの。  決して粗末に扱ってはいけないもの。  そんな気がしてずっと大切に持っている。  
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