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仰向けになっているのは淡い桃色のシーツを敷いたベッド。
姫椿の模様が美しい絹糸で施されている。
冬休み。
うとうとと眠ってしまったらしい。
「…一体、あの人は誰…?」
呟く声は白い吐息を作り出す。
胸が焼け付くように鼓動を打つ。
まだ重い体を持ち上げ、スプリングの利いたベッドから降りる。
キシッと微かに音が響く。
足取りは鈍い。
窓際に立ち、繊細な白の精の舞に視線を奪われる。
雫のついた窓に右手をあてるとひやりとした。
この景色を見続けていると、いつしか自分自身もこの白に融けてしまいそうな、そんな気になる。
「それもいいかも…」
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