第一話

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「無視するなんて、えぇ度胸じゃの」 男の太い腕が、私の首を圧迫する。 辛うじて呼吸は出来るが、それも満足という訳ではない。 「のぉ幕府の犬」 男はそう言って、さっきから抜いたままだった刀を土方さんに突き付ける。 しかし二人は微動だにせず私と男を見つめた。 事も無げに腰に挿してある刀の柄の部分に手を置いて、微かに息を吐く。 …あれ、もしかして私は助けてもらえる訳じゃない?  
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