第三章 落胆

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どれほど経ったのだろうか。それほど経ってはいないのだろうけど、今の俺たちにはとても長く感じた。 「…そろそろ…行こう」 普段は何か嫌なことがあっても笑っていられる俊哉でさえ、今のはさすがに堪えたらしい。声が消沈している。 その後、俺たちは食料保管所に辿り着いた。しかし、その間誰一人として口を開く者はいなかった。 「やっと着いたな」 「そうやな、これで今日か明日位まで食料の問題は無さそうやな」 俺たちは近くの民家の中で食事を取ることにした。 中には缶詰や長持ちしそうな食べ物が色々と詰め込まれていた。 ブッ。 誰かのオナラだった。 「いやー、すまんすまん。腹がいっぱいになったんでつい。」 それは弘樹のオナラだった。 「ちょっと何してんだよぉ~。くさいよ」 俊哉が鼻をつまむ。 「ったく弘樹らしいぜ」俺は こんな状況なのにな と付け加えようとしたがやめた。 はははっ。いつの間にかみんな笑っていた。 沙織も笑っていた。それを見て、みんな安心した。そして、さらに笑った。 いつまでもこの時間が続いて欲しいと本気で願った…。
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