第三章 落胆

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俺たちはここで様子を見ることにした。しかし、これは俺たちが人を殺すこと、つまりこのゲームに参加することの拒否を示していた。 それからたわいもない話をして時間を過ごした。 気付くと空が暗くなっていた。何時間話をしていたのだろう。 「今、何時だろうね?」沙織の一言で皆に一欠片の緊張が走った。 腕輪を操作し時刻を拍子すると19:27分だった。楽しい時間というは何故こんなにも早く過ぎ去ってしまうのだろうか。 「とりあえず飯食うか?」俺はみんなに聞いた。 「せやな。腹が減っては戦は出来ぬって言うしな」弘樹はしまったといった表情ですぐに訂正した。 「あ、いや、その…。なんや、そういう意味やない。…っていうか、深い意味はあらへんよ」 「そろそろはっきりさせよう」そう言って話をしてきたのは大地だった。いつになくはっきりとした声だった。 「このまま何もせずにいたって、結局…、死ぬ事になるだけだ」大地ははっきりと言った。 死ぬという言葉を使うかどうか迷った様だが、あえて使った。それだけ大地は真剣に話しているのだろう。 「俺は…、みんなで一緒に帰りたい。…たとえ人を殺しても。それしか方法がないんだからな」 「そんな言い方すんなって、もしかしたら他に方法があるかも知れないじゃん」 「そやそや、そんな焦んなや」 大地の言葉はもっともだが、俊哉と弘樹は沙織のことを考えて、あまり死ぬとか殺すとかそういうことを話し合いたくないらしい。 まぁ、それはみんな同じだがこのままではいけない。 「じゃあ…、このまま死ぬのか?」 「死にたないのはみんな一緒や!せやかて、せやかて…」 「とにかく…。まだ時間はある。何か食べよう…。俺たちが倉庫から外に出たのは10時過ぎだろう。それまでに腕輪を手にいれなければならない。明日は5時位に起きよう。…これだけは分かって欲しい。…俺は、みんなと…一緒に帰りたい。それだけは分かって欲しい…」そう言って大地は横になった。自分で何か食べようと言ったのに横になって寝た。しかし、それは自分が起きてるとみんなを気まずくさせてしまうと考え、そうしたのだろう。みんな大地の気遣いに気付いていたため、何も言わず寝かせた。 「ちっ、カッコつけやがって」俺はわざと大地に聞こえるように言った。 みんな大地が正しいことを言ってるのは分かっていた。 俺たちは暗い面持ちでご飯を食べることにした…。
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