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第四章 二日目
ちゅんちゅん
小鳥のさえずりが俺たちを心地よく起こしてくれた。一瞬だけ今までの出来事は夢だったのかと思った。しかし、現実は変わらなかった。俺たちは5人でこの民家で寝ていた。
「おぉ…。起きたか…」大地は先に起きていた。見張りをしていてくれたらしい。
「ふぁ~。ねむいよ~」俊哉が頭をボリボリ掻きながら眠そうに起きた。
それにつられて弘樹、沙織も眠そうに起きた。
俺はふと、この民家について考えた。いかにも田舎の家というような木造の家だが、クモの巣がはっていたり、カビが生えていたりということは無さそうだ。まるで、つい昨日まで人が住んでいたかのような印象さえする。やはり、このゲームのために一時的に追い出されのだろうか。
「ちょっと昇どうしたの?ぼーっとして」気付くと沙織が俺の顔を覗いていた。
不意打ちだった。思わず顔が赤くなってしまった。
「な、何でもないっ」と俺が言うと、俊哉がそれに気付いたのか、
「あれ~、どうしたののぼるぅ~。熱でもあるの~?そんな真っ赤な顔して」と ニヤリと笑い言った。
「うるせ~!何でもねぇ~よ!ったく」
「へへっ、昇のやつ相変わらず照れ屋やな。なぁ、大ちゃん」
「ん?あ、ああ…。そうだな」
いつの間にか弘樹はいつもの様に大ちゃんと呼んでいた。弘樹も人に気を使える人間なので、昨日の事で大地との間に亀裂をいれたくないのだろう。もちろん大地もだが、シャイなやつだからな。
「ははっ」俺はつい笑ってしまった。
「何やねん。何笑っとんねん」弘樹は恥ずかしいそうに言った。
「別に~」
昨日の夜とは違い、明らかに空気が和やかになっていた。
そんな時だった。
ブー、ブー、ブー
何かのブザーの様な音がした。それはアナウンスだった。
「え~、田中です。只今`チーム船橋´の木村悠介さんが反則をしました。え~、腕輪の多重確保は禁止したはずですが木村さんは一つをバッグにいれ、もう一つを土の中に埋めました。それを我々は反則と見なしましたので`チーム船橋´を失格とし首輪を作動させます。我々は常に監視してますのでそのつもりで。ちなみに勝ち取った他人の腕輪を保持してますと、腕輪に青く表示されますので大切に腕輪を守って下さい。」そう言うとアナウンスは終わった。
「何やったんやろなぁ、今のは」
「誰かが反則をして…、消されたようだな」
ゲームは確実に進行している…。
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