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「とにかく…、腕輪で確認してみよう」
大地の言葉で、みんな腕輪で地図を表示した。地図は自分を中心に半径50mからほぼ全域にまで拡大することが出来る。地図には多数の青い点が表示されていた。この近くにはいない様だ。あくまでも腕輪を保持している人間はということだが…。
「つまり、腕輪を持っとるヤツは常にリスクが伴うっちゅうわけやな」
「へぇ、弘樹もたまには真面目なこと言うんだね」
「たまにはって何やねん。いっつも真面目やっちゅうねん。俊哉の方が訳わからんわ」
「まぁまぁ2人とも、落ち着いて」俺が2人を止めると大地は言った。
「今から外に出たいと思う…。みんな準備はいいか…?覚悟を…決めたか?」
その言葉を聞き、みんなの表情が曇った。
「やっぱり、まだ分かんねーよ。何で俺たちが殺しあわなきゃいけないんだよ」
そう言ったのは… 俊哉だった。
いつものへらへらしている俊哉とは違い、真剣な眼差しをしている。
以前、この表情を1度だけ見たことがある。それは沙織が道でヤンキーにぶつかった時だった。その時は俺と沙織と俊哉で映画を見に行った帰りだった。しつこく文句を言ってくるヤンキーに対し、沙織は謝った。しかし、ヤンキーは金を要求した。ついには沙織を殴ったのだ。その瞬間、俊哉はヤンキーに殴りかかった。2人組のヤンキーが気絶するまで5秒もかからなかった。俊哉は他人の事になると本気で怒る。そういう人間だった。
この表情を初めて見た大地と弘樹は呆気にとられていた。
「だが…、このままでは死ぬ事になるんだぞ!俊哉!」
大地がそう言った瞬間、ドアが突然ぶち破られ、何者かが侵入してきた…。
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