第二章 始動

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「ぷー…、ぷー…」スピーカーからの電話を切ったような音だけがコンクリートの壁に反響していた。 しばらくして、ざわめきや泣き出す人や怒りをぶつけている人が出てきた。無理もない、皆何がなんだかわからなかったのである。 「今の話はホンマにホンマなんか?」弘樹はみんなを安心させようと無理して笑いながら聞いた? 「しかし…これだけのことをやって冗談ですむわけない…」大地は無表情で言った。 「これは全国で行われているのだろうか?」俺はそれが気になっていた。もしそうなら、国が動いていると考えるしかない。 「まるで、こんなのバトルロワイアルじゃ~ん」俊哉が言った。その通りだ。まさか、こんなことが実際に起こるとは考えもしなかった。 「ちくしょー!」俺はなんだか無性に腹がたって壁を思いきり殴った。 「昇!大丈夫なの?手から血が出てるわよ。これ使って!」沙織はハンカチを渡してきた。女の子らしい花柄でいい匂いがした。何考えているんだこんな時に俺は。 「ありがとう」とは言ったもののハンカチの上から血が滲んできていた。
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