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さて、これからどうするか。まわりはパニックで誰も行動しようとしなかった。その時であった。
「えー、みなさん。田中です。みなさんの気持ちも分かりますが早く行動して下さい。これは全国で行われています。くれぐれもなぜ自分だけがとは思わないように。えー、それと外にバックパックを用意していますので1人1つ持って行って下さい。えー、それでは早く行動して下さい。よろしくお願いします。」アナウンスは切れた。
確かに田中はこれが全国で行われていると言った。つまり国が動いていることになる。もう冗談ではすまない。この場のほとんどの人がその事に気がつくのに時間はかからなかった。時間はない!とにかく倉庫から出なければ。
「ここにいても仕方がない。外に出よう。」俺はみんなに促した。
「昇!こんな殺し合いに参加するつもりなの?」沙織はまさかという感じで言った。
「いや、そういうことは後で考えればいいだろ!とにかく外に出よう。」俺は一刻も早く外に出たかった。
「後でっていつよ!外に出たらすぐに殺されちゃうかもしれないじゃない!」沙織はさっきより激しく言った。
「いい加減にせぇ!沙織少し落ち着きぃ!大丈夫やから。な?大丈夫やから。」弘樹は優しく言った。
「そうだよ~。怒ると肌に悪いよ~。沙織は俺っちが守るからさ~」俊哉がおちゃらけて言った。
2人のおかげで沙織は徐々に落ち着いてきた。2人は本当に頼りになる。
黒ずんだコンクリートの壁が、まるで人々の不安や憎しみを飲み込んでいるかの様に禍々しい闇に思えた…
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