第1章

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知らない土地の、知らない海 それに夜も更けてしまって、街灯も無いこの場所では波の音と、月の光に僅かに光る水面が見えるだけだ (こんな予定じゃ無かったけど…まぁ、仕方無いかぁ…) 海を見下ろす崖の上に立って、そう心で呟いた上田穂香は海を覗き込んだ 黒のタイトスカートに白いシャツと言う穂香の格好は、この場所には全く馴染まない 高さを確認し、納得したのか穂香はぐるりと周りを見回した 春から夏に季節を変えようとするこの時期、崖の上の岩場には月見草が競うように咲き誇っていた その黄色の花をしばらく見つめた後、穂香は崖に体を向けた
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