第1章

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(…飛ぼう) 穂香は靴を脱いで揃えた 一歩踏み出すと、深い闇の底に更に深い海が見える もう一歩進む 崖から吹き上げる風が穂香の髪を乱した 大きく息を吐いて胸に手をあてると、自分でも驚くくらい鼓動はいつもと同じ、穏やかだった むしろ、いつもより穏やかに感じる (大丈夫、これで良いんだ) 唇をぎゅっと噛み、自分のつま先を見る (…あ…伝線) 下ろしたばかりのストッキングに入った線は、つま先から膝まで伸びていた そこに手をやろうとして、我に返る (これから飛ぶんだから、別に良いや…)
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