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君の手が好き。
僕を抱きしめるその手が好き。
優しい、優しい手が好き。
幸せになんてなれないと思ってた。
だけどその手があるから僕は幸せだった。
だけど、一瞬で君の手が霞んで。
その手は、
歪んで見えて。
ああ、この手を掴めたら。
――掴めたらきっと幸せなのに。
手が動かない。
僕の手は赤く染まっていて。
ああ、君は僕の手を握る。
汚いよ。
汚いよ。
僕の手に触れたら君が汚れる。
――無理矢理君の手から僕の手を抜いて。
そしたら僕の手は、
――力なく ぶらさがって。
落ちた。
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