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「……私が悪かったです。お願いします。スプーンを……、四季の素材をすくう魔法のスプーンを取り返して下さい……。うぅっ」
「あ~! ごめんごめん! 悪かったって! 行くよ、行きますから……。行かせて下さい!」
そうきたか。泣き落とし。なるほど、NPCと言うよりも、意志がある人間と言ったほうが当てはまる。
そして彼女らは無理にでもストーリーを進めて行くわけだ。
変えられないのか?
ゲームでは選択肢がある。どちらを選んでも同じ結末になるんだが……。
「始めからそう言えば良いのよ」
「……だな。しかし、ウソ泣きまでするとはお疲れさん。顔は可愛いのに……、性格わるっ!」
「可愛い? やっぱり?」
なんだ? 急に上機嫌になったぞ?
「よく見るとあなたも良い男ね。あなたとだったら私……。ううん、何でもないわ。私はミント。この村の南西にあるお花畑で待ってるからね。ヨロシクねっ」
そう言い残してミントは去って行った。
あなたとだったら――か……。
なんか胡散臭いな。
でもまぁ、仕方がない。
とりあえずスプーンを取り戻しに行かなきゃな。
このイベントが終わらなきゃ、村の外にも出られやしない。
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