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慌てて上半身を起こす。
そして辺りを素早く見回した。
見覚えのあるものを探したと言うべきか。
部屋の広さはおよそ四畳半、壁や天井、床は木造。
もちろん、この部屋への入り口である扉や窓、家具も木製だ。
「よくできてんなぁ……」と、思わず呟いた。
「お誉め戴き光栄にございます」
「なっ!?」
全身が凍り付いた。
反射的に声の方を向く。
タキシードにハット、肘に杖を下げた70代くらいの、背の低い老人の姿が目に映った。
「ファンタジア・ガーデンの世界へようこそ!」
少し低めで、言い様によっては迫があるその声の主の老人は、何も気にする様子も無く、淡々と話し始めた。
「私はこの世界の案内人で、セバスチャンと申します。あなた様には、日頃この世界を楽しんで戴けているご様子、是非ともこの世界を肌で体感をして戴きたく、お呼び致しました」
「ファンタジア・ガーデン!?」
「はい、左様でございます」
「ファンタジア・ガーデンってあの!?」
ファンタジア・ガーデンとはオンラインRPGゲームで、毎晩のように俺が遊んでいた……。
その世界か!?
そんな……、まさか……。
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