選択~斬之介~

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 俺は勢い良く部屋を飛び出した。  狭い通路。  左右に道が別れていて、すぐそこにそれぞれの扉が見える。 「右側の青い扉か……」  少しためらった。  本当に良いのだろうか?  だが、命を賭ける程の価値はある。  今のまま働いたってそんな大金は手にできない。 「死ななきゃ良いんだ。帰って来れば良いんだ。これはゲーム……、だろ?」  自分に言い聞かせながら青い扉をゆっくりと開ける。  ファンタジア・ガーデン事態、難しいゲームではない。  ただやり込み要素としてレベル上げが大変ではある。が、中盤までなら直ぐに上げれる。  新しい、現実とは違う世界への期待を胸に秘め、俺は青い扉の部屋に入った。  辺りを見回す。  ここは!? この部屋は!  さっきの部屋じゃねぇか。  そして、聞き覚えのあるあの声が。 「ようこそ! ファンタジア・ガーデンへ!」 「やかましい! 何で爺さんがまた居るんだよ!」 「今から手続きと説明を致しますゆえ……」 「さっきしろよっ!」 「あの間は、ダウンロードでございます」 「はいはいはい!」  一気に力が抜けた。
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