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「昨日のこともですか?」
それを聞いたってわからない…。
一つ思ったことは(酒って恐いな…)だけだ。
あまりにも沈黙がつづく俺に、男は口を開いた。
「まだ思い出せないんですか。」
そして、はぁっと男はため息をついた。
「亮さんは、白状者ですね」
亮は、いきなり知らないやつに、自分の名前を言われて驚きを隠せなかった。
「何故、俺の名を知ってる……」
驚きを隠せなく立ち上がった亮は、恥ずかしくなりしたを向いた。
「あなたは、昨日男に絡まれてたんですよ。それを助けたのが私、それからあなたに道を尋ねたら、はっきり『私の名前は佐野亮、家は桜木公園の近くです!』って言いましたよ。」
昨日の出来事を、話しているのを聞いて、自分の馬鹿さに余計恥ずかしくなり座り込んだ。
「あなたをおぶって行くことは出来たんですが、ちょうど腰を痛めてて、おぶることが出来なく近くにあったホテルへ入ったんですよ。」
亮がその話をきいて、何か困っている顔をしていると、男は“ふっ”と笑い、ブランコから降り、歩き出していった。
男の右手には横に置いてあったはずの、亮のカバンが握られている。
(なんだよその笑い…って!俺のカバン!!いつのまに!?)
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