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急いで追い掛け、カバンに手を伸ばし取っ手に、手を掴んだが、男は一行に掴んだ手を放そうとはしない。
(おい!はなせ!!俺のカバンだぞ!!)
いっこうに手を話さない。
「なぁ、お前が俺の肩にキスマーク付けたのか?」
先に歩く男のペースに、一生懸命ついていきながら質問をした。
「あっ…」
普通の声で話したつもりなんだが、周りの人に聞こえていたのか、はたまた、一生懸命ついていっている亮と、先を歩いている男の事についてか、こちらをみなが笑っている人たちがいた。
恥ずかしくて、何も言えなくなってしまうとその様子を見ていた男が
「ぷっ…ふ」
と、笑いだした。
「うるさい!笑うな!質問に答えろよ」
恥ずかしくて、顔を真っ赤にして小さい声で訴えた。
「さぁな、ほらついたよ、13階が私の家だ、そうだ今まで私の名前を教えて無かったですね、名前は流部紫乃歩ですよ。」
と言って、手を出された。
「あぁ…よろしく。知ってると思うけど、俺の名前は佐野亮だよ。」
と、何が何だかさっぱり分からなかったが渋々手をだした。
流部の家は高層マンションに住んでいた。
しかも最上階に近いともなると、結構な金持ちが住むところである。
流部の部屋に入るとそこは男にしては、整頓されて綺麗な部屋であった。
「亮…そこのソファーに座って待っててください。今コーヒー入れてきます。」
と言ってキッチンへ行った。
「お前の部屋、綺麗だな…」
と言って、部屋にあるソファーへ座り、流部に声をかえた。
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