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「唯?大丈夫か?」
夾君が、心配そうに私を見る。
こういう時にドキッとする。
まるで颯君に見られてるみたいで……
私はまだ、颯君のことが好き。
今でも颯君が一番だ。
今付き合ってるのは、正直本心じゃない。
夾君には、恋愛感情とは別の何かを抱いてる。
それが何なのか……
「唯……?」
「ぁ、ゴメン。考え事してた」
久しぶりに街に来たというのも、颯君のことを思い出してしまいそうだったから。
出来るだけ、颯君のこととは距離を置いてきた。
じゃないと苦しくて……押し潰されそうになる。
だから出来るだけ遠くに……遠くに……
「行こうっ!」
「遅れたやつが言うな」
「エヘヘ~♪」
私が駆け出すと、夾君はひどく心配そうに私を見る。
付き合うに当たって、流石に病気のことは明らかにしたからだ。
もうすぐ死ぬかもしれないことも含めて。
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