代償と解放

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20代ぐらいの男が入ってくる。 「夏目さん、上が呼んでます…って、ああ、君、起きたのかい」 「ん、分かった。とりあえず今日はここまでだ。また来る。ナースさんもそろそろ来る時間だから検査を受けるといい、…それと怪我してるんだから逃げるんじゃないぞ」 中年と男は出ていった。 静かになる病室 包帯だらけの自分を見る。 あの逃走劇、最初は警察官だけだったが、途中から皆がおれをつかまえようとした。 必死で逃げる自分に皆が嫌な笑い、ヤジが飛んできた。 まるで自分は人間では無く狩られる鹿のような気分になった。 どうして、自分ばかりがこんなめに…
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