代償と解放

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「…どうして、俺にそこまで良くしてくれるんだ?」 今までの経験がどうしても相手に裏があるんじゃないかと、考えてしまう。 「ん、その目だ」 目? 「ヒトを恨んで恨んで恨みつくして、何もかも諦めたような、悲しい冷めた目をしてるんだよ、お前は」 自覚は少しある美咲にも良く言われた。 「お前長い事笑ったことがないだろ?その目は11歳ぐらいの子供がする目じゃない。お前が笑えるような環境に連れて行ってやりたい。」 「それだけの理由で俺を息子に?」 「何よりお前が気に入ったんだ。息子にしたいぐらいにな」 この人は嘘をついてない、本当に俺を息子にしたいんだ。 トビラは美咲以外の人間に肩の力を初めて抜いた。 「……ははは、変なヒトだね」 トビラはぎこちなく笑って見せる。 「ああ、変な者同士一緒に住もう」 宗助は豪快に笑う こうしてトビラは夏目トビラとして宗助の息子になった。
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