├4.思い出

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今と同じように一面の黄金色がサワサワと風が吹くたびに乾いた音を立てていた。 夫は相変わらず忙しかったが、時間を見つけては会いに来てくれたし、こまめにメールもくれていた。 いつからだろう…こんな風になってしまったのは…。 いつからだろう…用件しかメールがなくなったのは…。 「ありがとう、ママ」 そう言って、娘は公園の遊具の方に走っていく。 娘の無邪気な笑顔。 私はポケットの中の携帯を握り締めた。 電話は鳴らない。 あの頃とは違う現実。
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