├1.はじまり

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├1.はじまり

賑やかな声が聞こえる。 私は娘の幼稚園の前で一瞬足を止めた。 幼稚園の中に入る時、私はいつも躊躇してしまう。 圧倒的な生命力…と言えばいいのだろうか。 とにかく圧倒されてしまうのだ。 さっきから何人ものお母さんから不思議な目で見られていた。 時計を見る。 もう迎えに行かなくては…。 私は意を決して娘を迎えに行った。 「ねぇ、ママどうしたの?」 突然迎えに来た私に梨花はうれしそうに飛び付いた。 無邪気な微笑みに思わず胸が痛む。 「うん…梨花とお散歩しようと思ってね」 嘘…私は家を出るつもりで娘を連れに来たのだ。 気持と反対に私はにっこりと笑っている。 娘はやったあと喜びながら私の足元に抱きついていた。
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