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「んじゃお酒もきたことだし、乾杯しますかぁ」
少しグラスを高く持ち莉子が有紀にうながす
「それじゃいちごの半年後の幸せに」
「有紀の今の幸せに」
『かんぱーいー』
カチと音を立てて二つのグラスが重なる
有紀はグラスの半分ぐらいまでゴクゴクと飲みほすと「半年後ぐらいに結婚式を予定してたから
きてよね!!」
「もちろん!!」
少し考えこんでるように有紀はトーンを落とし
「信一にはあんまり先輩達呼ばないようには言うから…」
「…もう大丈夫!
随分、昔の話しじゃない!せっかくの結婚式なのに山田君に気、使わせちゃ悪いわよ!」
「でも…」
「大丈夫!
あっでも同じ円卓は勘弁かな!」
と有紀に心配させないように莉子はおどけた
「わかった!
任しといて!式場の端と端にするから!」
あまりにも真剣な顔で言う有紀が可笑しくて思わず吹いてしまった
莉子は同じ部署の先輩から子供じみた嫌がらせをされていた
大人になった女の集団のいじめほど陰険で陰湿なものはなく
そのせいで当時は精神的に滅入ってた
有紀はいつも愚痴を聞いてくれ
他の同期や後輩も交えてよくこの『エデン』にきて鬱憤を晴らしていた
いつも力になってくれた
有紀だからこそそんなことに気を使わず楽しいことだけを考えて式当日を迎えてほしくて莉子は気にしてないそぶりをとった
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