【第101話】失意の檻

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親書の内容はこう書かれていた。 ――――――――――― †コビィーナ=マルフィス 無実の証明樹立により釈放を命ずる。  わが親衛調査員がコビィーナが公務執行妨害及びに傷を負わせた者について医局への問い合わせを行ったところ、被害者と思しき者のカルテは改ざんされていたことを発表。  その後の兵士の証言によれば、あの壁の爆発及びにハイエナ街の損害の影に一人の男が関わっていたという事実が浮上。  その者はその騒動の直前に一度ハイエナ街に不法侵入した者と一致。 残念ながら、彼は国軍に属する者であり、国属になる前から国に対する不信や苛立ちを感じており、今回その鬱憤(うっぷん)を晴らす機会に恵まれたことで犯行を決意。 犯行前、たまたま近くを通った民間人であるコビィーナ=マルフィスに罪を着せることを思い付き、兵士に口止めや虚偽の証言をさせたばかりか、その地位・権利の濫用及びに医局までもの口止めを行った、例を見ない程の悪質な犯罪者である。 その者の名前は――― ―――――――――――
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