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しかし、身動きが取れない自分のために動いてくれたゼロ……そして、掛け替えのない親友であるコビの2人を置いていくということはアベルの中で2人の想いを裏切る行為に他ならなかった。
「コビやゼロは……オレ達が今、この場所にいて、オーボンヌに行くことすら知らねェんだぞ…?
それを……!」
一刻の猶予も許されない状況が解るだけに、アベルは自分の無力感に襲われながらもただそうして吐き出すしかなかった。
(――そうだ、そういえばロベルトはゼロに何も情報を与えないままにコビ救出に向かわせた……こうなることをまるで解っていたかのように!)
仲間を思う気持ちから、ロベルトに対する不信感が生まれた瞬間――対するロベルトもその視線に気付いたらしい。
「オレがゼロに何も情報を与えなかった理由が気になるか?」
ロベルトは車椅子のグリップ部にオーラを込める、車椅子はゆっくり前へと進み出した。
車椅子は属性関係なしにオーラを注ぎ込むと稼動する仕組みになっている。
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