【第101話】失意の檻

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主(あるじ)のいなくなった牢屋に一人残されたアランは、ゼロの身柄を確保した時の事を思い出していた。 マスキュリンがアランを引き連れてエンハンスト監獄に訪れた時には、事態は完全に収拾し、監獄には静けさが戻ってきた明け方のことだった。 「国の王女ともあろうお方と国きっての名誉騎士様が、まさかこんな辺ぴな場所にいらっしゃっるとは……よほど暇だとみえる」 出迎えた赤髪の男は皮肉混じりに嘲り笑いながら、赤い色のワインを口に運んでいる。 エンハンスト監獄、管理棟/指令室。 その指令室の椅子に座る赤髪の男・ヴァーミリオンは最高級ブラックレザーの椅子に身体をもたれ掛かりながら、執務机に足をどかっと乗せ横柄な態度でマスキュリン達を出迎えた。 「仕事中に酒を飲むとは……見下げた奴だ」 アランはそうとだけ吐き捨てると、部屋の中を一望した。 ふと、部屋の中央の壁に掛かっているホワイトボードに描かれた見取り図面から異様な気配を感じ取り近寄ってみる…。 『DEAD END』という赤文字で走り書きがある『それ』から、鼻を付く生臭さが漂ってくる。 アランはそれが血液による文字であることに気付いた。
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