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朝礼――1日の始まりを気付かせると同時に1日で最も退屈な時間。
今日も隊長が長々と恒例の話をしている。今のディスサイト王国の現状から始まり、自分の子どもの未来がどれほど大切か、戦いの日々はもう、俺達の代で終わらせなければならない、と毎日同じようなことを言っている。
そんな退屈な朝礼が日課の僕らの隊はディスサイト王国全24隊――通称ディスフリゲートの中の第17番隊でディスサイト王国の東側に位置する町――マキュアに駐屯地を構える約20人からなる隊だ。僕はその隊に入って3年目になる若造だ。
退屈な朝礼が終わり各自各々の任務につく。僕は町の西側の見張りだ。怪しい人物をチェックしたり、魔族の侵入を許さない為の任務だ。そうは言っても怪しい人物なんか滅多に来ないような田舎町だし、魔族も弱いゴブリンが主だからほとんど平和な日々を送っている。
今日も相方のサカエと共に町の西側に向かう。歩いていると町の人々に声をかけられる。それは僕らの隊がこの町に馴染んでる証拠だ。……この町出身の僕が言うことじゃないんだけどね。
僕には両親がいない。妹がいるんだけど、その妹が産まれてすぐに二人とも魔族に襲われて死んじゃったんだ。そんな子ども二人が今日まで生きてこれたのは一重に町のみんなの優しさがあったからこそだ。
そんな町のみんなにいつまでも甘えてられないと思い、5年前からこの町にいる17番隊に入隊を志願したのが3年前だ。その頃はだれも入隊しようなんて考える若者がいなかっただけに、町のみんなや隊長から反対を受けたがどうしてもと言って入隊を許可して貰った。
そして15歳になった今、やっと妹を食べさせていくだけの力がついた。隊にもなれてきてそれなりに重要な任務にもつかせて貰ったりもする。
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