裏町

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    3  事務所に入る早々握手をされ、僕は応接室に通された。 「君が源次郎さんのお孫さんだね?そのうち現れると思っていたよ」 「そりゃどうも」  父の友人のはずが、源じいの名前が先に出て驚いた。 「私はかつて佐野建設の顧問弁護士だった。ここに来たと云う事は、言っている意味が解るね?」 「だったら教えてください。今、あそこで社長をしている人物、佐野幸太郎の事を」 「彼は君の父上の兄だ。尤も腹違い、君の父上は源次郎さんの妾の子。幸太郎さんは実子だ」 「そうだったんですか……」 「君は何も聞かされてはいないのかね?」 「はい、何も」 「そうか。君の父上とは大学の同期。尤も学科は違っていたが、一般教養が一緒でね。同じサークルだった事もあって、古くから仲良くさせてもらっていたんだ」 「僕は父が大学を出ていた事すら知りません」 「無理もない。君が産まれる前に佐野建設から追い出されたのだから」 「源じい……祖父の部屋に残された書面には父が次期社長とありました」 「ああ、そうだ。幸太郎さんに追い出されるまでのたった二年間だけ、正次郎さんは社長だった」 「その時、祖父はどうなったんですか?」
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