1992年秋

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その日、私達はどこにも立ち寄らずに帰宅した。私も家内も無性に眠かった。 まだ日は高かったが、娘も含め三人で床に付いた。 私は娘に、いつものように子守唄を聞かせていた。しかし、時折声が震え、涙がこぼれ落ちた。 家内も私達に背中を向け、泣き続けていた。 不思議そうにしながらも、両親が泣き続ける理由を、娘は聞かなかった。 優しい娘である。
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