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そこから更に進んだところで、母の様態が急変した。いきなり倒れてしまったのだ。近くに病院を探したが、生憎そこは民家も無いような所だった。息子は走った。走って走って走り続けて、ようやくひとつの病院を見つけたが、既に診察時間は終了していた。
「誰か!誰か居ませんか!!」
息子は、必死で窓ガラスを叩いた。騒ぎを聞きつけて、医者が出てくるのを見ると、
「母を、お願いしま…す…」
そう言ったきり、意識を失ってしまった。
数日後、息子は目を覚ました。
「気がつきましたか」
見ると、息子が最後に見た医者が立っていた。
「母は!?」
息子は息急ききってたずねる。
「あのままでは、危なかったでしょう。…しかし、峠は越えましたよ。」
医者はそう言って、隣のベッドで寝ている母を指した。息子は、ほっとしたように顔をほころばせた。
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