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次の日、小沛の会議室には諸将らが集まっていた。
「陛下、我らを集めて話しとは何でこざいましょう?」
諸将を代表して張遼が聞いた。
「…俺達は今、北と西に敵がいる。このまま南にも敵が増えたならば、俺達は敵に囲まれることとなる。」
「南…確か孫策という者が治めていると聞きます。まさか同盟を…!?」
「そのまさかです。」
呂布の側にいる陳宮が答えた。その陳宮がさらに言葉を続ける。
「孫策殿は昔、袁術殿の将でした。そして、玉璽(ギョクジ)の代わりに兵を借り、江南を統一しました。その後、袁術殿から独立しました。また、勇猛果敢な姿から『小覇王』と呼ばれ、曹操も正面から戦うのを嫌うと聞いています。」
「それは是非ともお仲間に加えておきたいですな。」
「敵に囲まれる事態になることだけは避けなければ。」
「縁のある孫策殿ならば、同盟を受け入れてくれましょう。」
諸将らは皆、同じ意見だった。
「では、使者は張恭、お前に任せる。」
呂布は恭平を見た。
「お任せ下さい!必ずや成功させてみせます!」
恭平は早速、支度をしようと自室に戻ろうとした。だが、あることに気付いて立ち止まった。
「陛下、玉璽を孫策殿に返したいのですが…。」
「玉璽か…。そうだな。」
呂布はそう言ったが、陳宮が反対した。
「なりません。玉璽は皇帝を示すものです。それを手放しては陛下の威厳が失われてしまいます。」
陳宮の言葉に頷く者は少なくなかった。だが、恭平はすぐさま反論した。
「失礼ですが、玉璽によって陛下の威厳は変わるのですか?僕には玉璽がなくても、陛下が皇帝であることに何ら変わりはないと思います。」
この言葉に反論する者はいなかった。
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